「決まっているんだ」


だいぶ経ってから再読して強く疑問に思ったこと。


周囲の大人は何をやっているのだ一体。


そのひと言に尽きる。


初めて読んだときは気持ちがいっぱいいっぱいで


そこまで考えが及ばなかったのである。


お巡りさんなんて上っ面では、優しい、いい人っぽいけど


いやはや、とんでもないよね。


地域住民の安全を守るのが奴の仕事ではないのか?え?


ただ心配するだけなんてクソの役にも立ちゃあしない。



夜野と茶沢さんはそれぞれその身を極端な危険に晒してまで


(それこそ命懸けレベルで)


住田を支えているのだが


(もちろん2人はわざわざ口に出したりはしないし)


住田には2人の想いがまったく届かない。


それがとても悲しい。


精神を病んだ者に必要なのは、友情より医療ということなのか。


茶沢さんからもヤクザからも指摘されているように


住田は「病気」なのだから。


それにしたって夜野が加担してしまった経験も


茶沢さんが騙され呼び出された経験も


黙って背負っていくにはあまりにも重すぎるではないか。



「やっぱりダメなのか?」


「どうしても無理か?」


その台詞が刺さる。


日不見(ヒミズ)だってちょっとくらい光を見ることを願ったりするんだ。


もしかしたら、と。


わずかでも。



この作品を端的に表すなら「死に至る病」だろう。


大好きな漫画である。



【ヒミズ】全4巻

作者/古谷実

掲載誌/講談社・ヤングマガジン(2001年 - 2003年)


とても深い考察をされている記事があるのでリンクさせて頂きます。

「これは独り言だが」

きみは何も見なかったし、何も聞かなかった。いいな?

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